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涙の夕焼け

回想録その3。
勘違いなさらないように、回想録なのでノンフィクションです。
本当の人物、出来事です。



中学2年のとき、別のクラスに転校生がやってきたと聞いた。それは隣の市からの転校生で、その中学校は「○○第二中学校」というような名前で、僕らはその頭文字を取って「(お2中→おに中→)鬼中」と略していた。その名が隣の市まで定着していたことから、悪い連中が多い学校として名高く、少し恐れられていたのも事実。そんな学校から転入してくるとは、一体どんな不良がやってきたんや?と興味津々だったが、他クラスで校舎の階も違ったため、どんな奴かは確認できなかった。

中学3年にあがってクラス替えとなり、同じ階の他クラスに、この2年間まったく見たことのなかった男子がいた。T君である。一目惚れとはこのことで、見た瞬間に体が硬直してしまったほど。あ~、こいつが例の転校生かぁ。不良ちゃうやん、普通やん。めっちゃカワイイなぁ。


僕は中学1年のときに軟式テニス部に所属していたが、練習がイヤになって退部。3年に上がるまで帰宅部で通していたのだけど、クラブに所属していたほうが高校受験に有利になるということで、何かクラブに入ろうと思っていた。当初、吹奏楽部を考えていたが、T君が男子バレーボール部の部長であるという情報を聞き、さらに3年生の部員はたった3人だという。試合もろくに出来ないと聞いて、「楽そうだ」と思って、即、入部。僕にしては珍しく積極的なアクションで、T君とみごと友達になれたというわけです。


ある夏休みのクラブ活動のとき、T君は足首をねんざした。かなりひどく捻ったようで、誰かの支え無しにはその日は帰れなくなったため、途中まで帰り道が同じだった僕は、その途中まで僕の肩を貸して、二人きり、歩いて帰った。

僕はブレザーの制服で、T君は着替えが出来なかった為にジャージ姿だった。T君は左手を僕の右肩に乗せて、足を引きずりながら、「ごめんなー」と何度も言っていた。夏場の西陽はとても暑かった。足が痛むのか、それともまぶしかったのか、目を細くして前を向いているT君の左頬は赤く染まるほどに、夕焼けがまっ赤でとてもキレイだった。

僕はこの間、どんな話しをしていたのか、まったく覚えていない。ただその時の風景とその時の心の思いだけが脳裏に焼き付いて離れない。別に今この場で告白しようなんてことは考えてなかったハズ。ただ、今この瞬間がすごく幸せだということをひしひし感じていた。


彼のペースに合わせていたので、あっという間に夕陽は沈んで、T君の住む団地の近くまで来ると、もう辺りは暗かった。「ここでいいわ、ありがとうな~!」といって、T君は背中を向けて一人足を引きずって帰る後ろ姿を見ていたら、とても放っておけなかったのと、もうちょっと一緒にいたいという欲求で、僕は駆け寄って「送るがな~!」と言って、また肩を貸してあげた。

彼の棟まで辿り着くと、彼は「4階やねん」と言った。知ってる。それくらいの情報はインプット済み。でも一応初めてだという体(てい)で、「はいはい4階ね」と言って、一緒に階段をゆっくり昇って、玄関先まで辿り着いた。夏場だったし、辺りはもう暗くなっていて、もういい時間だ。「じゃ、帰るね」というと、「うん、ホンマ今日はありがとうな」と言って、彼は玄関を閉めた。

僕は少し遠回りの帰り道となってしまったけど、一人になって帰っている間、彼の役に少しでも立てれたという感触で、しばし呆然としたような感覚。その後しばらくたってから、胸がジンジンして張り裂けるような思いが続いた。

すごく幸せに感じたあと、すごく辛かった。


T君とは同じ公立高校に進学。同じクラスになることは一度もなかったけど、高校に上がっても仲良く接してくれた。高校卒業後は所在不明。親の家業を継いだ(酒屋)という噂も聞いたけど、あれから一度も地元で遭遇したことがない。今どこで何してるだろう?


ただ、あの日の夕焼けを思い出すと、今でも胸が詰まります。


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とっくに失ってしまった何かを思い出させてくれるような記事ですね(笑)。
こういう思い出って、形は違えど大抵の人が持ってるんだろうなー。
好きな人に近づくために必死で努力するという…。
年取ると見栄やら世間体やら色んなものが邪魔して、
当時のようには積極的になれないんですよねぇ。

昔、僕にも同じようなことがありました。

好きな人の側にいられることが、とても幸せなんだけど、それ以上近付けないことが切なくて。

やっぱり、みんな同じような経験をしてるんですね。

遅れてきた涙は止まらない。

オニ中、同じ中学出身をオナ中と略すのを
思い出してしまいました。

タイトルはKANの曲でいいんですかね?
本筋と違うコメントばかりでゴメンなさい。

>はるとさん
他の方の学生時代の話しを聞いたりすると、
「いいな~、そんな思い出があって!」と思うことが多いですよ。
僕はこの思い出以外には、いたってフツーの学生時代を過ごしたなぁ、と思います。

僕は今でも想っているだけの恋が多いんだけど、このときばかりは、すごく積極的でしたね。
別に好きでもないバレー部に入部するほどでしたから(笑)
高校に入ると、好きな先生(古典)が生徒会を担当していて、
さすがにそのために、生徒会役員に立候補することはありませんでした。
おかげで、その先生とは一言も喋ることなく、卒業してしまいましたけどね。

>のび太さん
物心ついた頃からゲイの人なら、きっと誰しも同じ経験をしているのかも。
幸せな気持ちと、辛い気持ちが、表裏一体なんですよね。
そしてそれは青春時代の話しでもなくて、今でも同じなんだな~。

それより先に沈んでた

>くまごろーさん
大正解です。<KAN
この曲はそんなに好きでもないんだけど、シチュエーションもちょっと違うけど、

「夕焼けを見てたら悲しみは倍になり」
「涙など出るのかと思ったら それより先に沈んでた」
「おくれてきた涙は止まらない」

なんとなく、今回の内容とリンクする部分があって、それなりに好きです。


同じ中学出身=オナ中 って、こっちの地域では言わないかも。
オナニー中毒みたいになってるじゃないか(笑)
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京都在住。
チビポッチャリーマン。
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